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[2023]ADHD様犬のセロトニンとドーパミンの血中濃度について

Serotonin and Dopamine Blood Levels in ADHD-Like Dogs

書誌情報by Ángela González-Martínez, Susana Muñiz de Miguel ,Noemi Graña,Xiana Costas and Francisco Javier Diéguez, Animals 2023, 13(6), 1037; https://doi.org/10.3390/ani13061037

Notice

表題の論文を日本語訳してみました。翻訳アプリにかけた日本語訳を英文に照らして修正していますが、表記のゆれや訳の間違いがあるかもしれません。正確に内容を知りたい方は、原文をご覧ください。

Simple Summary

注意欠陥多動性障害(ADHD)は、主に子供や青年に発症する比較的一般的な神経発達障害である。

ADHDは重大な社会的スティグマ、心理社会的逆境、および作業能力の低下と関連している。

ヒトと同様にイヌもADHDに似た行動をとることがあるが、現在までのところ犬種におけるこの症状に関する研究はほとんどない。

そこで本研究では、ヒトのADHD患者に見られるような兆候を持つ犬(対照犬と比較)を対象に、臨床的評価と異なる行動尺度によって評価した血清セロトニンとドーパミンの濃度を分析した。

その結果、ADHDに類似した症状を示す犬では、両神経伝達物質が低濃度で観察される傾向があることが判明した。

この知見は、犬における本疾患の診断と治療の研究に貢献することが期待される。

ADHD様の関連行動は家庭における犬の正常な共存を妨げ、今日も大きな社会的・動物福祉的問題である飼育放棄の一因となっている可能性がある。

Abstract

ヒトと同様にイヌも自然に注意欠陥多動性障害様(ADHD様)行動を起こし、多動性/衝動性、注意欠陥の問題を高いレベルで示すことがあり、家庭犬はADHDの動物モデルとして期待されている。

ADHDにはセロトニンやドーパミンなど多くの神経伝達物質が関与しており、非常に複雑な病態生理を有している。

本研究の目的はADHDに似た症状を持つ犬たちの血清セロトニンおよびドーパミンの濃度を評価することであった。

研究対象となったのは58頭の犬で、そのうち36頭は身体的および行動的な評価の結果、ADHD様症状に分類された。

さらに、犬の飼い主に対しC-BARQ:The Canine Behavioral Assessment & Research Questionnaire–犬の行動評価・研究用質問紙)、犬の衝動性評価尺度(the Dog Impulsivity Assessment Scale)、そしてイヌADHD 評価尺度(the Dog-ADHD rating scale)などの科学的に検証された一連のアンケートを実施した。

行動評価の後、すべての動物から血清を採取し、セロトニンとドーパミンを測定するための市販のELISA試験で分析した。

両神経伝達物質とADHD様行動(臨床評価および各種質問票による評価)との関係を評価するため、クラスカル=ウォリス検定とラッソ回帰を適用した。

臨床的にADHD様行動と判定された犬は、セロトニンとドーパミンの濃度が低いことがわかった。

さらに、セロトニンとドーパミンの濃度は、攻撃性、多動性、衝動性にも関連していた。

また、セロトニン濃度の低下は、恐怖、愛着、触覚過敏にも関連していた。

さいごに、我々のデータはセロトニンおよびドーパミンとADHD様行動との間に強い関係があることを示唆していることに留意しなければならない。

 

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