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[2019]ADHD様行動をとる犬の運動パターンの計算論的解析

Computational Analysis of Movement Patterns of Dogs with ADHD-Like Behavior

書誌情報by Stephane Bleuer-Elsner 1,Anna Zamansky, Asaf Fux,Dmitry Kaplun, Sergey Romanov, Aleksandr Sinitca, Sylvia Masson andDirk van der Linden, Animals 2019, 9(12), 1140; https://doi.org/10.3390/ani9121140

Simple Summary

犬のADHD(注意欠陥多動性障害)様行動は、衝動性、不注意、攻撃性などとして表れ、犬と飼い主のQOLを低下させる。

臨床現場での治療には行動修正が必要であり、時には内科的治療が加えられることもある。

この問題の評価と診断のための客観的なツールは不足しており、行動学の専門家はほとんど飼い主の報告に頼っている。

このギャップを解決するために本論文では、行動コンサルテーション中に収集されたビデオ映像から犬の動きを自動的に分析する自作の計算ツールを使用した。

ADHD様行動で内科的治療を受けた犬12頭と、行動上の問題が報告されていない対照群12頭の行動相談を計算機で解析した結果、ADHD様行動をとる犬の特徴的な運動パターンを3次元的に特定し、相談中に検出することができた。

すなわち、(i)移動速度が速い、(ii)部屋空間を広くカバーする、(iii)部屋空間での方向転換が頻繁に起こる、である。

これらのパターンは、ADHD様行動の犬の客観的評価のための計算手法の基礎となり、本疾患の診断や臨床治療に役立つ可能性がある。

Abstract

飼い主の報告に頼らずより客観的な行動評価を行うために、計算機によるアプローチが求められている。

本研究は、ADHD(注意欠陥多動性障害)様行動をとる犬には獣医師の診察時に直接観察できる特徴的な動作パターンがあるという仮説を、計算機解析によって検証することを目的とした。

ADHD様行動により内科的治療を受けた犬12頭、および行動上の問題が報告されていない対照群12頭の行動診察を記録した。

コンピュータビジョンと機械学習に基づく自社開発ツールによる計算機解析を行い、犬の自動追跡データから抽出可能な12の動作パラメータを分析した。

その結果、7つの動作パラメータに有意差が認められ、診察時に直接観察可能でありながら、臨床医によるADHD様行動のより客観的な評価に役立つと考えられる3次元の動作パターンが特定された。

それは、(i)動きが速い、(ii)行動エリアが広い、(iii)常にあちこち動き回っている、であった。

コンサルテーション中に収集されたビデオデータに使用される計算ツールは、特定された次元に基づくADHD様行動の定量的な評価をサポートする可能性がある。

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