カイロス時間:All Dogs Live in the Moment--飼い主と一緒なら、何歳からでも犬は変われる

[2021]本来もっている能力を引き出すだけで、ヒトとイヌは通じ合える

わざわざ、特別な訓練をしなくても、犬にはもともと人間とコミュニケーションをとれる素質が備わっていることが、さまざまな研究によって証明されています。

Early-emerging and highly heritable sensitivity to human communication in dogs

書誌情報Emily E. Bray et al. Current Biology, Volume 31, Issue 14, p. 3132-3136. E5, July 26, 2021, https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.04.055

Notice

表題の論文を日本語訳してみました。翻訳アプリにかけた日本語訳を英文に照らして修正していますが、表記のゆれや訳の間違いがあるかもしれません。正確に内容を知りたい方は原文をご覧ください。

犬における人間とのコミュニケーションに対する感受性の早期発現と高い遺伝性

要点

  • 犬は生後8週間までに社会性を身につけ、人の顔に興味を持つようになる
  • 犬の社会的スキルのばらつきの約半分は遺伝的要因で決まる
  • 子犬は最初のテストから人間のジェスチャーをうまく使うことができた

サマリー

ヒトの認知は、協調的コミュニケーションのための社会的スキルが早期に出現したことが一因であると考えられている。比較研究によると、2歳半の時点で、他の類人猿と同様に物理的世界について推論しているが、協力的コミュニケーションのための認知能力は、我々の最も近い霊長類のそれをはるかに上回っていることが示されている。

研究の進展により、家庭犬においても協調的コミュニケーション行為に対する感受性が、人間の子供と機能的に類似していることが明らかになってきた。犬は発達の早い時期から、多様な協調的ジェスチャーに柔軟に対応する。

ヒトの子どもと同様に、犬はジェスチャーがコミュニケーション的であることを示す表出的なシグナルと、これらのコミュニケーション的行為に関する推論に必要な文脈的な要因に敏感である。しかし、これらの能力の生物学的基盤に関する重要な疑問は未検証のままである。

我々は、これらの能力の発達的・遺伝的起源を調べるために、375頭の生後8週齢の子犬を対象に、社会的認知に関する一連のテストを行なった。もし、イヌがヒトと協力するための能力が生物学的に準備されているのであれば、それは発達初期に強固に出現し、大規模な社会化や学習を必要とせず、遺伝的変異を示すはずであると仮定した。

その結果、子犬たちは人間の様々なジェスチャーを非常に上手に使いこなし、そのパフォーマンスに学習が必要であることを示す証拠は見つからなかった。また、犬の指差追従能力および人の顔への注意力の40%以上が遺伝的要因によるものであった。

この結果は、犬の社会的スキルが発達の初期に出現し、強い遺伝的支配を受けていることを示唆している。

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