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[2022]犬は人間の普段の状態と心理的にストレス状態あるときの匂いの違いが分かる

Dogs can discriminate between human baseline and psychological stress condition odours

書誌情報Wilson C, Campbell K, Petzel Z, Reeve C (2022) Dogs can discriminate between human baseline and psychological stress condition odours. PLOS ONE 17(9): e0274143.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0274143

Notice

表題の論文を日本語訳してみました。翻訳アプリにかけた日本語訳を英文に照らして修正していますが、表記のゆれや訳の間違いがあるかもしれません。正確に内容を知りたい方は、原文をご覧ください。

要約

これまでの研究で、犬は人間がストレスを感じているときにそれを察知できることが示唆されている。

本研究では、二重盲検、二段階、三択の強制選択法を用いて、犬がベースライン(普通の状態)とストレス状態にあるときの人間の臭いを区別することが可能かどうかを検証した。

参加者は、ベースライン時とストレス誘発課題(暗算)後に、呼気と汗の複合サンプルを採取した。

参加者のストレスは、自己申告とバイオパックMP150システムで記録された生理的測定値で検証された。

36人の参加者のサンプルは、36セッション(それぞれ16、11、7、2セッション)にわたって4頭の犬に提示された。

各セッションは、フェーズ1の訓練試行(10回)と、フェーズ2の識別試行(20回)で構成された。

フェーズ1では、犬は参加者のストレスサンプル(タスク直後に採取)と2つのダミーサンプル(息や汗のないサンプル材料)を提示され、警戒行動でストレスサンプルを識別することが要求された。

フェーズ2では、犬にストレスサンプルと同じ参加者のベースラインサンプル(タスク前に採取)、そしてダミーサンプルを提示した。

そして、犬がどのサンプル(ダミー、ベースライン、ストレス)に対して警戒行動をとったかを測定した。

フェーズ2(ベースライン試料が存在する場合)において、犬がストレス試料に対して正しく警戒することができれば、ベースラインとストレスの匂いは区別できると考えられる。

成績は90.00%から96.88%の精度で、合計精度は93.75%であった(N trials = 720)。

二項検定(1回の試行で成功する確率を0.33、αを0.05とする)では、正しい試行の割合が偶然に予想される割合よりも大きかった(p < 0.001)。

この結果は、急性心理的ストレス反応に伴う生理的プロセスが、呼気や汗から発散される揮発性有機化合物に変化をもたらし、犬がそれを検出できることを示す。

これらの結果は、ヒトと犬の関係に対する理解を深めるとともに、感情支援犬や心的外傷後ストレス障害(PTSD)介助犬への応用が期待される。

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